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滋賀医大辻本君実習感想

先日、土佐山診療所で実習をした滋賀医科大学の辻本君からお礼状が届きました。
本人の掲載許可がありましたので、ここに載せさせていただきます。
将来、高知県に来るということも選択肢として考えてくれているようです。有難いです。
ちなみに私(阿波谷)も学生時代に、土佐山で実習させていただいたことがあります。



前略 土佐山へき地診療所のみなさま
ご無沙汰しております、滋賀医大医学科4年の辻本健児です。


先月の実習ではたいへんお世話になり、ありがとうございました。
みなさまの醸し出すあたたかい雰囲気と、それを支えるさりげない気遣いが忘れられません。私の実家にも高齢の祖母がおりますが、土佐山診療所のような、身近であたたかい診療所が地域にあればなあ・・・と最近しきりに思います。
今回の実習は、滋賀医科大学の自主研修プログラムに乗っかり、大学経由で高知大医学部の阿波谷教授に「高知の地域医療を学びたい」とお願いしたところ、快く受け入れてくださって実現したものです。コーディネートしてくださった阿波谷先生には心から感謝しております。


土佐山診療所でお世話になったのは合計8日間でした。患者さん送迎バスに乗せていただいて地域を巡ることからスタートし、診察・処置の見学、所長の松下先生の講話、「たきゆり」のケアマネージャーさんとの戸別訪問、などなど思い出深いものばかりです。
中でも印象に残ったのは、ここでの医療が「医療者と患者さん」の関係ではなく、「私とあなた」の関係において自然に行われていることでした。こう言うと、あまりにも物事をきれいに片付けすぎているのは重々承知ですが・・・ 
患者さんに診察室でお会いしても、車で移動中にすれ違っても「○○さん、一時期つらかったんだけど、最近は調子が戻って・・」とか「△△さんのお母さん、最近見てないけど、どうしてるかな?」とか、そういう会話が自然にみなさんの口から出てくる。また「◎◎さん、すごいんだよ、昔こんなことしてて・・」という会話も頻繁でした。地域の医療は「距離が近い」「キャラが濃い」医療なのだと思いました。患者さんも、医療者も。だからこそ「私とあなた」の医療になってゆくのが自然で一番いいのかなと思いました。そこには、大学の臨床実習前に練習させられる「本日診察を担当いたします●●と申します。よろしくお願いします。今日はどうされましたか?」という医療とは、一味違うものがありました。阿波谷先生曰く、「それはファーストフード店の接客マニュアルみたいなものだから、基本ではあるけど、地域の診療所でそのまま使うと、かえって違和感があるんだよ」と。なるほど、さすが絶妙のたとえ話です。


阿波谷先生のたとえ話は冴えていました。「たとえて言えば、総合病院はイオン高知、診療所は近所のコンビニかな」。うーーん、いかにも!診療所は身近で総合的、日常的な疾患はひととおり診てもらえる。
しかし、特筆すべきは、それを支える診療技術が一流だということです。松下先生曰く「日常的な疾患の裏に隠れている悪性疾患、危険な症候をいかに見落とさないか、そして必要なタイミングで専門病院に紹介できることが大切」と。阿波谷先生が、昔、患者さんの喉をたまたま触診していて甲状腺の腫瘍に気付いたり、お腹を触診していて脾腫に気付き、専門病院に紹介した症例を聞き、またその患者さんが外来で元気に来られたのを実際に見て、「大病院ほど最新の機器が揃っているから、高度な医療が受けられて、診断や検査も良質に違いない」ということが、ここではおよそ当てはまらないのを実感できました。まさにプライマリ・ケア医療(家庭医療)の真髄ここにあり!だと思いました。

まだまだ書きたいことはたくさんありますが、きりがありませんので、今回はこれくらいにさせていただこうと思います。
診療所のみなさま、もともと高知県に縁もゆかりもなかったこの私を、広いお心で受け入れてくださって、本当にありがとうございました。特に、車を持っていない私を毎日送り迎えをしてくださったI神看護師さん、本当に感謝しております。そして、いきなりやってきた学生を、いやな顔ひとつせず、それどころか快く受け入れて診察などに同席させてくださった土佐山のみなさまにも、心からお礼申し上げたく思います。お世話になったご恩を決して忘れず、私の目標である、このような診療所の医療を立派にこなせる医師となれるよう、精進してゆきたく思います。そして将来、高知の地域医療にも貢献できることを目標に加えて、頑張りたいと思います。本当にありがとうございました。  草々


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