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臨床実習(II)

高知大学では、臨床実習として5年生ですべての科を経験します。
6年生のこの時期、8週間の臨床実習(II)があり、いくつかの診療科を選択し、もう一度、実習することができます。

土佐山診療所にも2人の6年生が来てくれました。

一年後には医師になっている学生さんです。

5月26-27日に実習に来てくれた五十嵐君のレポートを許可を得て掲載します。
これから卒業試験・国家試験の勉強が続きますが、感性を大切にして心豊かな医師になってもらうことを期待しています。

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土佐山診療所実習を終えて

 一日目。全身の関節の変形が著しい高齢女性が来られました。田植え仕事をすると痛みも忘れるという、仕事を生きがいにされている患者さん。もちろん、身体の負担になるほどの仕事はすすめられないわけですが、仕事が生きがいになっていることを考慮して、先生がそれをある程度容認されていたのが印象的でした。
 午後、小雨の降る中、階段というには程遠い小高い急斜面の坂道を上って訪問診療に行きました。おばあさんは阿波谷先生が来られたことを喜んで、涙を浮かべて迎えられていました。ベッドのすぐ隣に簡易トイレ、呼び鈴。自宅介護していた祖母が重なり目頭が熱くなりました。我々が帰るときも家の中からずっと手を振ってお見送りしてくださり、とても温かい気持ちになりました。


 二日目。朝一番、バスで診療所を出発。土佐山の山中をぐるっと回って患者さんを一人一人道中で拾っていきました。道が狭い部分がところどころあって、前から車が来ると車両交換できるところまでバックする場面が何度かありました。また、運転手さんが道行く人たちに手を上げて挨拶されていて、どの人たちも知り合いなんだなあというのがわかりました。
 午後、ポリオ予防接種を受けに小児とそのお母さんがたくさん来られました。松下先生が上手にあやして口から生ワクチンを投与されていました。口をあけてくれない子には鼻をつまむと口を開けてくれるということを教えていただき勉強になりました。看護師さんも子供たちに上手に声かけされていたので、泣きわめく子が少なかったように思います。

 地域医療実習全体を通して感じたことは、プライマリケアが扱うその領域の広さです。
生活習慣病の内科疾患をはじめ、皮膚科、耳鼻科、小児科、整形外科と幅広い知識、デイサービスなどの介護の方面の知識、そして、患者さんとそのご家族の生活も含めた全人的医療が必要とされていることを実感しました。また、他の病院との連携も大事なことだと感じました。

 最後に、今回の実習を受け入れていただいた阿波谷先生、松下先生、土佐山診療所のスタッフの皆様にお礼申し上げます。ありがとうございました。


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