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土佐山に感謝!


 2012年から土佐山で診療してきましたが、この3月30日(木)が最後の診察でした。

 5年間楽しく、そして無事に診療に従事することができました。住民・患者さんのみなさん、たきゆりのみなさん、そしてスタッフのみなさん本当にお世話になりました。ありがとうございました。

 さて最後の診療日はゆっくりと思い出に浸りながら診療しようと思ってはいましたが、結局は患者さんのスタッフへの申し送りやサマリーの記載、また健康福祉センター・たきゆりへのあいさつなどバタバタした一日となってしまいました。

 帰路は旧診療所の前を通って新診療所をながめ、5年間を振り返りながらゆっくりと帰ってきました。

 印象に残っていることは、パソコンの診療支援ソフト(阿波谷先生作)で患者さんの顔写真を整理していた時、みなさんの笑顔の写真があまりにもステキですごく暖かい気持ちになり、(なぜか)うるっとしてしまったこと。何かに疲れていたのかもしれませんが、みなさんの笑顔にすごく勇気をもらった気がしました。もう一つは、ハワイ大学医学部生が実習に来た際「患者さんがすごく優しそうだった」「可能ならばここに住みたい」と感想を寄せたことです。日本語が通じないにもかかわらず、みなさんのおもてなしの気持ちが伝わったのではないかと感じています。

 最初は週2回、2年前からは週1回の診療でしたが、何とも居心地のいい感じにつつまれて診療できたのは、土佐山の環境やみなさんの癒やしの笑顔のおかげだったかなと振り返っています。

 また高知大学医学部はもちろん、琉球大学やハワイ大学、ダンディ大学などたくさんの学生や初期研修医との出会いも印象的でした。学生の時に実習して、卒業して地域医療研修で土佐山に来る研修医も増えてきています。
 そしてある研修医は現在、指導医として関わっている後期研修プログラムで引き続き指導していたり、またある研修医は大学院で一緒に研究のディスカッションをしていたり、またある県外の研修医は昨年4月に高知で開催された学会にきた際に飲み行ったりと、土佐山でのわずか一日の指導にも関わらず、そのつながりが今も続いていることは驚きです。

 来週からは、高知県立あき総合病院で勤務することになります。土佐山の風景、みなさんの笑顔を想い出しながら、引き続き高知の地域医療に従事していきたいと思います。

 最後になりましたがこの2月発行の「診療所便り」の文章を転記し、最後のあいさつとしたいと思います。

 本当にどうもありがとうございました。

 (森尾)
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 土佐山のみなさん、こんにちは。
 突然のお知らせで大変心苦しいのですが、この三月をもって高知大学また土佐山へき地診療所を退職することになりました。
 平成二十四年から診療させていただきました。あっという間の五年間、たくさんの人との出会いがありました。県内外の学生の実習、そして研修医の地域医療研修では、患者さんや住民の方、またたきゆりのスタッフのみなさんには大変お世話になりました。多くの学生・研修医が土佐山の風景や人の温かさに感動しながら、他では体験できないたくさんのことを学んでいると実感しています。また季節の折々にはみなさんの畑や山で取れたものをいただき、土佐山からたくさんのエネルギーをもらったように思います。
 まだまだ土佐山のよろず相談医としてお役に立っていきたいと思っておりましたが、両親の故郷の高知県東部地域が深刻な医師不足になっていることを知りました。この東部地域には、小さい頃、山や川でドロドロになるまで遊んだ思い出があります。また医学生の頃、将来はここの医療に貢献したいなと漠然とした夢を持っておりました。ずいぶんと悩んだ末、自分の古い夢を選択することとしました。
 この四月からはあき総合病院を中心に診療と教育にたずさわることになります。勤務場所は変わりますが、引き続き高知県の地域医療に貢献していきたいと考えています。そして時々、みなさんのことを思い出しては、土佐山のイベントや温泉にぶらりと遊びに来たいと思っています。
 末筆ながら、みなさんのご健康、ご多幸を心よりお祈りしています。
 土佐山に感謝。
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旧診療所からながめる風景



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