土佐山へき地診療所での実習(7月14日)
高知大学医学部医学科1年 佐竹祐香
診療所での実習を通して、実際の診療の様子を、医師の視点に近いところから見ることができました。
また、自分の将来について深く考えることができました。
診療の様子を医師の視点から直接見たのは、今回が初めてでした。診察を見学するだけでなく、聴診器で音を聞かせてもらい、身体の調子を確認する方法を教えていただきました。患者さんの症状についても、まだ医学的知識の少ない私には少し難しかったですが、その原因や対処法を教わりました。
来院された患者さんの多くは高血圧や糖尿病といった慢性疾患でしたが、患者さんそれぞれとどのように話をするか、その人をよく見て考えることが大切だと分かりました。例えば、血圧が高いという課題に対して、私たちが本やインターネットで調べて出てくるのは、「塩分を控える」「禁酒・禁煙」といった言葉です。しかし、この言葉をそのまま伝えるのではなく、その人の社会的背景に合わせて工夫することこそ、同じ患者さんと長く接する家庭医に必要な力だと気づきました。塩分を控えるようにと伝えたいときには、塩分の代わりにうま味を利用した食事を提案する、料理での塩の使い方の工夫を提案するなど、知識さえあれば、色々な話ができます。個人によると思いますが、患者さんの視点を考えたとき、「塩を1日何グラムに抑える」のような分かりにくい数値を伝えるよりも、具体的なアドバイスがあったほうが私は取り組みやすいと思います。
このような話ができるようになるために、医療だけでなく幅広い分野の知識を持った医師になりたいと思いました。夏休みが近づいてきていますが、知識の幅を広げるために有効に使いたいと考えています。
次に、自分の将来像の変化について述べたいと思います。私は以前から産科医療に興味があり、地域で産科医として働きたいと考えていました。しかし、患者さんとゆっくり話をしながら診察をする、家庭医のような仕事にも憧れがありました。地域で分娩に関わることができる病院となると急性期の患者さんが多いところになるため、どちらかは諦めなければならないものだと思っていました。ほかにも、高校でおもしろさに気づいた外国語、子どもの頃盲導犬が好きで関心をもった障がいのことなど、もっと勉強したい、仕事に活かしてみたいと思うことがあり、将来の方向性が定まらずにいました。
先生と話をする中で、自分の趣味や経験、得意分野と仕事を組み合わせることで、新しい分野が形成されることがあると知りました。また外国語などは、日常的に使うことはなくても、必要な場ですぐに使えるような能力があれば役に立つと思いました。将来の方向性はこれから経験することも参考に、ゆっくり考えていきたいです。以前は既存の形のどれかに収まることを前提としていましたが、自分のやりたいことを活かせる方向に進むという新しい可能性に気づくことができ、うれしかったです。
最後になりますが、今回このような実習の機会をくださった先生方、診療所の方々、見学させてくださった患者さん方に、心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございました。
今後も、目指す医師像に少しでも近づけるよう、努力していきます。また実習に行かせていただく機会がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
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