1年生の古川智捺さんが、実習に来てくれました。
彼女は映画「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」で扱われた学生ヘルパーを高知で実現させたいと思っているそうです。ただ思うだけじゃなく、すでに大学病院の地域医療連携室や、訪問看護ステーションなどで話を聞いたりして、どうすれば実現できるのかを考えているようです。実習の合間にそのようなお話を聞かせてもらいました。とても素晴らしい医学生です。私も応援します!
さて、実習も積極的に取り組んでくれました。診察のときに私の背後で話を聞き、一緒に聴診器を当てたり、触診したりしました。患者さんが退室された後は、私の横に来て、カルテに何を書いているのかを前のめりで見ていました。いままで数多くの学生さんが診療所を訪れましたが、自分からカルテを見ようとした人は初めてかもしれません。積極的な姿勢は、自分の成長に繋がります。ぜひ、今後も続けて欲しいと思います。
感想文が届きました。私が冗談交じりでお話した「柳町バーのママさん理論」を一番に挙げてくれているところにも、彼女らしさが見えます。また、いつでも実習においでください(阿波谷)。
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土佐山診療所研修レポート 高知大学医学部医学科1年 古川智捺
今回の研修で最も印象に残っていることは「バーのママさん理論」です。これはバーのママさんが一度来たお客さんの名前を覚えており、「3ヶ月くらい前に○○さんと来てくれた方ね」と声をかけることで、お客さんを大事に思っていることが伝わることから来ています。阿波谷先生も患者さんの名前や前に持っていた疾患、家の様子などを覚えていて、「家の前の坂に気をつけてね」などと声をかけていました。たしかに、私がそのような言葉をかけられたら、自分のことを知っていて、気にかけてくれているとうれしくなります。実際、美容院に行くときは私が前にいつ来て、どれくらいの長さに切ったかを覚えていてくれるところに行っています。
しかし、どのようにして患者さん一人一人のことを覚えているのでしょうか。阿波谷先生はカルテに患者さんが最近興味を持っていることをメモしていました。例えば、前回患者さんが好きな相撲とりの話をしていたらそれをメモしておき、今回もう一度相撲の話をして「どの相撲取りが好きなの?」と聞きます。こうすれば、認知症の確認にもなります。患者さんの中には、それまで硬い表情をしていたのに、先生が野球の話を振った瞬間、声が大きくなり表情も生き生きとして、嬉しそうにされる方もいました。
また、先生が「前に○○の疾患で診療所に来ましたよね」と患者さんに聞いたとき、患者さんが「そんなことまで覚えているのか」と嬉しそうにしていたことが印象的でした。大きなけがや患っていた疾患は、患者さんにとって大切なことであり、その人の大きな一部なのだと感じました。例えば、私は夏に転んで膝を怪我し、今でも跡が残っています。スカートをはくときに目立たないか気になるし、無意識に怪我の跡を指でなぞることもあります。このように、膝の怪我は私の頭の中の割と多くの部分を占めています。だからこそ、その怪我を覚えていて気遣ってくれる人がいると自分をわかってもらえている気がしてうれしくなります。私の学生ヘルパーの先輩は、「患者さんが大事にしていることを自分も大切にする」と仰っていました。患者さんの好きなことや怪我のことを覚えていることも、それに繋がるのではないかと思いました。
今回の研修のまとめは、「患者さんの名前と、患者さんが大切にしていることに興味を持つ」ことです。私の尊敬する女性は「その人のことが大好きになるくらいその人に興味を持って話を聞く」と言います。私も患者さん全員を大好きになる勢いで話を聞こうと思います。患者さんを大好きになる医師って素敵だと思いました。
ちょうど視察にきていたロンドン医療センターの新井先生も一緒に記念写真 |
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