土佐山診療所での実習を終えて
大西由記
今回、土佐山診療所で2日間実習をさせていただきました。これまで大学病院や幡多けんみん病院での実習に参加したことはありますが、土佐山診療所のようなへき地の診療所での実習には初めて参加しました。2日間、地域医療を長い間行ってきた先生方の下で勉強させていただけて、とても貴重で有意義な実習でした。
2日間の実習を通して、糖尿病などの生活習慣病の患者さんや肩や腰の痛みを持つ患者さん以外に、予防接種を受ける患者さんや怪我の処置を受ける患者さんなど、幅広い目的の患者さん達が来院されていて、往診にも同行させていただきました。土佐山診療所のような診療所で医療を提供する医師は、それぞれの家庭や地域に注目してGeneral medicineつまり全科医療を行います。呼吸器内科や消化器内科、循環器内科などのようなそれぞれの専門科領域に分けた医療ではなく、患者さんのバックグラウンドを考慮してカスタマイズした医療を提供する患者さんありきの医療を行う必要があります。そして、患者さんに寄り添いながら、生活習慣をしっかり聞き、食事療法や運動療法のモチベーションをあげながら具体的なアドバイスをする必要があります。地域医療を担う医師は本当に多くのことを診ることが出来ないといけないと実感しました。
先生方と患者さんのコミュニケーションについても近くで見ることで学べたことが多くありました。先生方は学生と話すときと比べて、土佐弁を多く使いながら患者さんとお話ししているように感じました。また、長く診てきている患者さんだからこそ、表情からも情報を得やすいということを教えていただきました。そして診療をする中で、患者さんが食事や運動の改善をしていると言っていても、実際治療するためには不十分なこともあり、患者さんの話してくれたことをもっと掘り下げて聞いていくことが必要だということを学びました。他に、高齢者の方とコミュニケーションを取る際には身体に触れながら、親しみを持って接することもあると教えていただきました。
今回来られていた患者さんの多くが「先生がそう言うやったらやってみる」とか「次また先生に会いに来るのを楽しみにして頑張る」というようにおっしゃっていました。先生方や看護師の方と患者さん達の関係性を間近で見て感じることが出来、地域医療の魅力を改めて実感したし、自分の将来の働き方を考える良い機会になりました。また、先生と一緒に聴診をさせていただいたことや、処置のお手伝いや清潔手袋の着用など、初めての経験も出来ました。そして、医学的知識の定着の無さから、今後の勉強の仕方を考えるきっかけになりましたし、勉強に対するモチベーションも上がりました。今後はもっと具体的な将来像を考え、それに近づけるように努力したいと思います。最後になりましたが、お世話になった阿波谷先生、佐野先生、看護師さん、実習を快く受け入れてくださった患者さんの方々、本当にありがとうございました。また機会がありましたらよろしくお願い致します。
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