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3年生笹岡歩乃佳さんが見学に来てくれました。有り難うございました。以来、「Learning Medicine in English」の勉強会にも来てくれてます。

 個別地域医療実習を終えて 

                             高知大学医学部医学科3年 笹岡 歩乃佳

今回、初めて土佐山へき地診療所で実習をさせて頂き、医療の本来あるべき姿や、自分自身の今後の学習の方向性、また、一人の人間としての生き方に至るまで、様々なことへの気づきや学びを得させて頂きました。

 まず、この実習を機に、医学を学ぶ上で非常に重要だと感じたことは、「臨床に活かすことを前提に学ぶ」ということです。診察を終えた患者さんの病態や診断の整理を佐野先生とさせていただいた時、患者さんの訴えや症状から、よくある原因疾患と、頻度は少ないが重要な疾患、この両方がすぐに具体的な病名として出てくるかが大切だと教えて頂きました。私は、その時手も足も出ず、今までこのような枠組みを意識して学べていなかったことを痛感しました。そして、それではただ雑多な知識の詰込みになってしまい、適切に臨床に活かせない方向に向かってしまっていたと気づかされました。きちんと具体的な鑑別疾患名が思いつき、それを患者さんにきちんと説明できるということは医師としては大前提の能力であるため、先生のおっしゃるようにこの時期から、臨床を意識した上で、筋道立った思考ができるようになるための学習を今後は行っていきたいと思いました。


また、将来医師として働く上で決して忘れてはいけないこととして、「基本に忠実に、患者のための医療を行う」ということの重要性を改めて学びました。佐野先生の診察を見学させて頂いて、特に印象に残っていることがいくつかあります。まず、ある患者さんから薬の処方について質問があった際、先生は、患者さんが納得した様子を示して下さるまで、紙に全ての薬剤名とその効能を列挙して見せながら、なぜこの処方をやめるのか、続けるのかということを、根拠を持って非常に分かりやすく説明されていました。その上で、医学的な利点のみでなく、実際に目の前の患者さんが求めていること、重要視していることも聞き出して最終的な決定をされていて、医療の理想の形だと強く感じました。また、他の診察では、診断に行きついた過程を、挙げた鑑別診断からどのように絞っていったのかという詳しい説明を踏まえて患者さんやご家族と丁寧に共有されていました。さらに、一日を通して、先生は単なる診察だけでなく、患者さんの生活状況までを自然に聞き出し、しかも先生ご自身がその会話を楽しんでいる様子であったのが印象的でした。それは医師である佐野先生だけでなく、看護師や事務のスタッフの方々全員に見受けられ、温かい空気感が終始感じられました。


このように、まさに基本に忠実であり、本来あるべき患者のための医療がそこに存在しているように感じました。佐野先生がおっしゃっていましたが、身体の不調のみを取り除けば問題が解決することは多くありません。一つの家庭の中でも一人一人が家族内、個人、周りの生活環境それぞれで問題を抱えていて、そこまで聞き出せて初めて、患者さん一人一人にあったアプローチを考えることができ、少しずつ根本的な解決に近づいていきます。よって、土佐山診療所で感じられた人々のあの温かさや、話を快く聞いてくれるという安心感のある環境が患者さん側に様々なことを話しやすくさせて、より良い医療につながると同時に、その環境や会話自体が、薬以外に大切なケアの一つであると感じました。このような環境を作ることは、実際診療時間を長く取りにくい大病院などでは難しいとも言われますが、やはり小さな地域に限らず、どのような場所にいてもどの科の医師になっても、このような医療を心がけていきたいと強く思いますし、現在のこの初心を忘れずに進んでいきたいです。


さらに、問診・診断を行った後、実際にアプローチを考え、実行に移していくためには、土台として根拠のある質の高い知識を豊富に持っておくことが非常に重要であるということを強調して教えて頂きました。例えば薬の効く長さなども含めたメカニズムまできちんと理解していると、特殊な生活リズムの患者さんにも対応した処方ができることなどは特に新鮮な学びで興味深かったです。また、正しく根拠ある知識があることで、一人一人年齢、性別、生活環境の異なる患者さんに合ったアプローチや処方を考え、佐野先生が行っていたように患者さんが納得できる説明を行うことができるのだと実感しました。

そして、このような根拠ある知識を身に着け、柔軟なアプローチを行うには、多くのことを学び続け、様々な視点に触れて、知識を磨き、時に発想転換をできる力を養うことが必要であること、また、その中で自分にとっての「本質」を模索し、見極めていくことの大切さも学ばせて頂きました。これは、一人間として人生を歩むうえでも非常に参考になったことの一つです。「多くを学び、広い視野を持ち、自分の中で変革を繰り返すことで次第に真実、本質に近づいていく」という先生の言葉が私の中でとても府に落ちました。これによって、ただ周りに流されるのではなく自分にとっての本質をもとに様々な選択を行えるようになり、利益や権威にとらわれず、どんな環境でも基本に忠実に患者中心の医療を行うことにつながっていくのだと分かりました。



以上のように、今回の実習は、私にとって本当に重要な学びを多く与えてくれる機会となりました。今後医学を学ぶ上では、臨床を意識して整理しながら学び、また、広い視野を身に着け本質を見極めていくために、英語にも力を入れて世界基準の医療も少しずつ学んでいきたいと思います。また、今後もこのような実習に積極的に参加させて頂き、モチベーションを高めていきたいです。さらに、一人の人間としても、まずは身近な人を大切にすることから日々意識して、将来高知県で今回学ばせて頂いたような医療を行えるような、思いやりのある温かい医師を目指したいと思います。


最後に、今回、このような貴重な機会を与えて下さった医療政策課ならびに家庭医療学講座の皆様、また、お忙しい中診療所で大変お世話になりました佐野先生はじめ全ての職員の皆様に今一度お礼を申し上げます。本当にありがとうございました。




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