先週、4年生の橋口真里さんが実習に来てくれました。
とても熱心に実習をしてくれたと思います。
普段の講義でも「患者さんの生活背景を大切にする」と教えられるとは思いますが、実習を通じで、具体的なイメージに繋がってくれていれば嬉しく思います。
また、いつでもお越しください。(阿波谷)
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土佐山診療所実習を終えて
医学科4年 橋口真里
医学部に入学して早くも4年経ちますが、これまで実習でお邪魔してきた施設の多くは「病院」で、土佐山診療所のような「診療所」で実習させていただいたのは1年初期のEME実習以来でした。その頃の自分よりは医学的知識が身に付き、将来のことも意識するようになってきたので、実習を通して得られるものも大きいのではないかと思いました。また4月から大学病院での実習が始まります。大きな病院で実習する前に、診療所との違いを肌で感じておきたいというのも目的の一つでした。まずはEME実習の時のような初心とときめきを思い出すつもりで土佐山まで車を走らせました。
実習を通して得られたことの一つに、座学では学べない臨床上の問題や工夫が見られたことが挙げられます。言葉は聞いたことがあった「ポリファーマシー」ですが、目の当たりにして予想以上にたくさんのお薬があって驚きました。それに対して、似たような薬や今必要のなさそうな薬は削るなどなるべくお薬を減らせるようにしたり、朝夜飲む薬を袋わけし、いつどれを飲むのか表にして患者さんにわかりやすくしたりするなどの工夫も知ることができました。また他にも、土佐山には調剤薬局がなく院外処方だと遠くまで出向かなければならないこと、ご高齢な患者さんのご家族の介護など、患者さん個々の抱える問題を知ることができました。病気のみを診るというよりは、患者さんの生活や人生を診ているといった印象を受けました。阿波谷先生が「患者さんのご家族とか生活も患者さんの一部」とおっしゃっていました。「膝が痛いと家の前の坂道も大変でしょう。」大学病院などよりも生活の場に近く地域に根差した診療所ならではの会話だなと感じました。医学的な視点からの答えは一つに絞れても選択肢は患者さん個々によってたくさんあって、その個別的な背景も含めて患者さんにとって最善の選択を模索していくことが大事なのだと感じました。
また、阿波谷先生の患者さんとの接し方からも多く学ぶことがありました。土佐山診療所では看護師さんも先生も患者さんを下の名前で呼んでいました。ご家族内に複数患者さんがいるなどの理由もあると思いますが、今まで実習してきた病院では見られなかったので印象に残りました。長期的に患者さんを診ているので、長い間に培った関係性ゆえの親しみが感じられました。その関係性を築くのにも細かな工夫があるのだと知りました。「お薬ちゃんと飲んでる?」ではなく、「お薬どのくらい残ってる?」と飲み忘れがあることを前提として聞いたり、診察室を出るときに質問する「ドアノブクエスチョン」で本音を聞き出したりするなど、何気ない会話の中にも患者さんが話しやすい空気を生む工夫が散りばめられていました。どれも患者さんの気持ちを想像した結果の聞き方で、患者さんに寄り添うとは想像することから始まるのかなと感じました。
大学病院での実習前にこの実習ができて病院実習を受ける姿勢や見方が変わったと思います。コミュニケーションなど基本的で大事なことを初心に立ち返って学ぶことができました。阿波谷先生はじめ土佐山診療所の皆様、本当にありがとうございました。
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